『けいおん!』手掛けたアニメ監督・山田尚子、最新作『きみの色』は“俺の考えた最強の歌ものバンド”
TVアニメ『けいおん!』や、『映画 聲の形』など、ジャンルを問わず、キャラクターの細やかな身ぶり手ぶりや表情、軽妙なセリフの掛け合いなどを活かし、人間の機微を描いてきたアニメ監督の山田尚子さん。最新作『きみの色』は、山田監督の特性がもっとも際立つ、瑞々しい青春×バンドもの。
――バンド活動をはじめる3人の高校生を描いた『きみの色』は、そのタイトルにあるように「色」に着目されていますね。
山田尚子さん(以下、山田):アニメーションという映像は、様々な要素を使って表現ができます。たとえば、時間や音、そして色もそうです。今回はその色をテーマにして、キャラクターたちに起こる無意識の変化にも焦点を当てていければと思いました。
――色を活かす手段として、人の「色」が見えるトツ子を主人公としています。こうした表現はどのように決められたのでしょうか?
山田:映画1本の分量として、色が効果的に、気持ちよく受け取ってもらえるように考えた結果ですね。
ただ、トツ子の世界に寄りすぎてすべてを色に置き換えてしまうと、私たちが見ている景色から遠いものになってしまいます。そこは表現としてのグラデーション、バランスを意識しました。