『けいおん!』手掛けたアニメ監督・山田尚子、最新作『きみの色』は“俺の考えた最強の歌ものバンド”
演出で何もしない、ということをあえてしました。彼女たちのライブを観た観客たちが自然と盛り上がっていく姿を記録することで、じっくりと熱が高まる様子を描きました。
――トツ子たちと同年代の、悩んでいる方々へ向けられている作品なのかなと思いました。
山田:若い人たちにも、過去に「若者」だった人たちにも観てほしいです。バンドという共同体で象徴的に描いていますが、続ける・続けないの選択がある時期のなか、選んだ道から希望や可能性が見えるようなものを最後まで目指しました。
『きみの色』は8 月30 日から全国ロードショー。音楽は『映画 聲の形』や『リズと青い鳥』でもタッグを組んだ牛尾憲輔で、そのフレーズが耳に残る劇中歌「水金地火木土天アーメン」の制作も担当。ちなみにこのフレーズは山田監督考案で、企画書にもコンセプトを示す言葉として掲載されていたとか。
主題歌はMr.Children「in the pocket」。
やまだ・なおこ2009年にTVアニメ『けいおん!』で監督デビュー。『たまこまーけっと』や『映画 聲の形』『リズと青い鳥』などを監督した後、フリーランスとなる。’22年、サイエンスSARUが制作したTVアニメ『平家物語』を手がけた。