『けいおん!』手掛けたアニメ監督・山田尚子、最新作『きみの色』は“俺の考えた最強の歌ものバンド”
そのひとりのルイ君がたまたま男の子だったという流れです。
――3人組という編成には意味があるのでしょうか。
山田:私は作品の中で常に揺れ動く人と人との関係性を描きたいと思っているのですが、2人ではなく、3人だと無限の可能性が生まれるように感じます。感情や行動も組み合わせ次第で変わってきます。さらに人数が増えれば、それぞれが輪になるイメージも想像できますが、3という数字への緊張感はずっとありましたね。三角形は美しくはあるけれど、難しいです。
――青春とバンド、というのは山田監督の真骨頂ですが、今回は特に、音楽面で山田監督の好みが強く出ている印象がありました。
山田:そうですね。
今回は、アニメ映画の中で最高にかっこいいと思える音楽を目指しました。主人公のバンドは、“俺の考えた最強の歌ものバンド”です(笑)。
――なるほど(笑)。一曲、トツ子ときみがある一歩を踏み出すシーンで、’90年代を代表するダンス・ミュージックが流れます。この楽曲はイギリスの無軌道な若者たちを描いた映画にも使われていて、オマージュ的に流れますね。
山田:フフフフ。そうなんです。あそこのシーンは、トツ子ときみにとっては最高に悪いことをしているシーンなので。