【芸術の秋】恋愛力が高まる文豪のラブレターとは【10月3日~7日】
日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。
「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。
強がりも男の愛の言葉
仲秋の名月に掲載になった記事の中で、夏目漱石が英語の先生をしていた頃の”Ilove you”についてのエピソードをご紹介しました。結婚して5年後、夏目漱石はロンドンに留学。その当時、日本に残してきた鏡子夫人に書いたラブレターをご紹介しましょう(現代語になおしています)。
「国を出てから半年ばかりになる。少々厭気がさしてかえりたくなった。おまえの手紙は2通きたばかりだ。その後の消息はわからない。多分無事だろうと思っている。
おまえでも子どもでも死んだら電報くらいはくるだろうと思っている。それだから便りのないのはさほど心配にならない。しかし、はなはだ淋しい」
「Ilove you」