あなたの心のなかにもある「モンスター」と「グロテスク」【 私をしあわせにしてくれる1000のアイテム】#0045
このところテレビで見かけることの多くなった百田尚樹さんの『モンスター』を読みました。確か高岡早紀さん主演で、映画にもなった作品です。
主人公の顔は、かつて畸形的なまでに醜くかった。
その子が小学校の高学年になったとき、「バケモン」だけでなく、「怪物」「ブルドッグ」「半魚人」「ミイラ女」など、様々なあだ名をつけられて、教室中の笑い者となります。
前半は主人公の恋愛話や高校に入学した頃のお話で、まぁ、何てことない段取りですが、中盤部分から、俄然、おもしろくなってきます。
整形をはじめるのです。まず、目、それから鼻、そして唇と、顔全体をやりはじめます。
<生まれながらにして絶世の美女なんて滅多にいるものじゃない。
モデルたちがさらに美しくなるのを目指すように、私もまた私なりに美しくなるように頑張っているのだ>
途中、こんな風に書いてある場面がありますけど、わかる気がするのです。
だって、誰だって「絶世の美女」に生まれてきたら、と思うことはありますものね。だけど、この未帆(整形する前は和子と言います)はしあわせです。英介という最愛の人と巡り合ったのですから。
それで、桐野夏生さんの『グロテスク』を読んでみたくなって、上下巻を読み返しました。