「トーマス・ルフ展」に行ってきたレポート!新たな写真の世界を目撃せよ
家具の配置などには一切手を加えず、その場の光源だけで、ありのままに、客観的に撮影することで、部屋とそこに暮らす人々をめぐる何かを浮かび上がらせようとしました。
フラシュなども一切使わず、自然のまま撮影された風景。近くでじっくり観察してみると、なんだか不思議な感じがします。
●少年時代からの宇宙への関心を背景とする「Cassini」と「ma.r.s.」
●「Cassini」
NASA(アメリカ航空宇宙局)などが1997年に打ち上げた宇宙探査船cassiniが撮影した土星と、その衛星の画像を素材にした作品です。ときに抽象的、幾何学的なデザインのようにも見える天体のイメージは、インターネット上で公開されている画像の色彩やトーンを操作することで生み出されたものです。
●「ma.r.s.」
「ma.r.s.」もまたNASAの探査船が撮影した画像を素材とする作品です。2006年以来火星を周回する探査船のカメラは、火星の表面のさまざまな情報を地球に送り続けています。ルフはその画像情報の角度や色彩をデジタル処理で加工することで、このはるか彼方で火星を見つづけるレンズを通じた「風景写真」