「トーマス・ルフ展」に行ってきたレポート!新たな写真の世界を目撃せよ
の可能性を探りました。
●インターネット時代の視覚・情報空間を問う「nudes」「jpeg」
●「nudes」
1990年代半ば、インターネットの急速な普及はヌード写真の流通にも大きな変化をもたらします。当時、デジタル画像の探求に取り組み始めていたルフは、ネット上に氾濫するポルノサイトから画像を入手し、作品を制作しました。色調を変えたり、極端にぼかしたりと、コンピュータによるマニピュレーションを徹底的に行うことで、そのヌードの構図がわずかに認識できる程度まで加工していきました。
確かに。よく見るとヌード写真の輪郭が見えてきます。一見なんてことのないぼやけた写真が、さまざまな表情を見せます。
●「jpeg」
シリーズ名のjpegとはデジタル画像の圧縮方式のひとつで、現在、全世界で使用されもっとも標準的なフォーマットの名称です。圧縮率を高めすぎるとブロックノイズが発生し、画面がモザイク状になってしまうというこの画像フォーマットの特性を用いて、画像の構造そのものを視覚化しています。
離れて見ると滑らかな写真のように見え、近づいて見ると、画像の構成要素が明らかになります。