アジアのアートと歴史に迫る!「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」開催
その影で社会には格差が生まれ、伝統的な文化が喪失されることへの懸念もあります。アーティストは、しばしばそうした変化を批評的に見つめています。
●■アートとは何か?なぜやるのか?
ニュー・ゼロ/アイ・コー《村の美術学校》2015年~
公的な美術館など現代美術のための制度が発展途上にある東南アジアでは、創造活動の目的も現代美術を取り囲む制度内での成功に限定されていません。むしろ、若い世代のアーティストのなかには、環境問題や離散する地域社会などコミュニティーのさまざまな課題へ向けてアートに何ができるのかを問う姿勢が顕著に見られます。コミュニティーに介入し、一般の人たちの参加を求めるソーシャリー・エンゲイジド・アートの実践や、コレクティブ(集団)としての活動は、日本よりも色濃く見られる特徴のひとつと言えるでしょう。
●■瞑想としてのメディア
コラクリット・アルナーノンチャイ 《おかしな名前の人たちが集まった部屋の中で歴史で絵画を描く3》 2015年
Courtesy: Carlos/Ishikawa,London; Clearing,Brussels/New York
東南アジア諸国では多様な民族、言語、文化、宗教が共存しており、そこで継承されている年中行事や祭祀は、成長や開発が進む今日においても日々の暮らしに密接に関係し、現世だけでなく死後の世界や超自然界に向けられた関心などにも繋がっています。