世界を飛び回るコペンハーゲン育ちの日本人クリエイターが明かす、デンマークデザインの神髄
華々しい活躍の裏で、彼も似たような不満を抱えていたんです。それを機に、僕はデザイン会社を解散し、2004年に弟と貯金をすべてつぎ込んで「The Inoue Brothers」を設立。
Photo by Robert Lawrence in Andes
「クライアントのもとで仕事はしない」「投資家も入れない」、そして「単なるデザインではなく、社会に貢献するソーシャルデザインをしよう」とだけを決めて始動。大量生産が社会を破壊するのが明らかになりつつあった当時。アメリカの電気自動車メーカー「テスラ」、デンマークなら風力発電機メーカー「ヴェスタス」らが先導して、社会問題をデザインで解決する「ソーシャルデザイン」の世界的なムーブメントが僕らを後押ししてくれたんですよね。でも今思えば、僕らを動かしたのはそれだけじゃなかった。ソーシャルデザインを突き詰めていくと、その思想はデンマークデザインの根本でもあったんですよ。
People’s Design
Photo by Robert Lawrence in Andes
ー「ソーシャルデザイン」と「デンマークデザイン」はどういったつながりがあるんですか?レジェンドと言われるデンマークのデザイナーには共通して、「People’s Design(人のためのデザイン)」