世界を飛び回るコペンハーゲン育ちの日本人クリエイターが明かす、デンマークデザインの神髄
デンマークデザインは、どこまでも「人のためのデザイン」だったんですよね。だからこそ今もなお、世界中でこんなにも多くの人々に愛されているんだと思います。
Photo by Robert Lawrence in Andes
光があれば影がある
Photo by Robert Lawrence in Andes
ー洞察が深くて面白いです。デンマークのデザインは、「人のため」の積み重ねだったんですね。一方で、デンマークのデザインは現在、かなり大企業化していますが、それはどういうことなんですか?実はそこにもデンマークらしさが滲み出ているんです。デンマークの強みといえば、デザイン以外に貿易があります。この歴史をひも解くと、デンマークの負の側面が見えてくるのと同時に、この国の本当の魅力がわかってくるんですよ。デンマークは海賊ヴァイキングの名残か、常にその時に一番強いところと組む性質があるんです。「ヒトラーが強そうだからヒトラーと組もう」「ヒトラーが負けそうだから次はイギリスだ」と。たとえば、アメリカのブッシュ大統領がイラクを攻撃し始めた時、全世界で唯一株価が跳ね上がったのが、デンマーク最大の貿易会社「A.P. モラーマースク」。