世界を飛び回るコペンハーゲン育ちの日本人クリエイターが明かす、デンマークデザインの神髄
The Inoue Brothersはソーシャルデザインにこだわろう、「人のためのデザイン」を突き詰めようと立ち上げましたが、特に当てがあったわけではありませんでした(笑)。そんな時、デザイン会社を解散したばかりの僕を、ある研究者が見つけてくれたのがきっかけでした。その人の研究内容は「アルパカの毛皮は世界一高級なのに、アルパカと共に生きる人々はなぜ南米で一番貧しいのか?」。彼が10年以上研究して出した結論は「原因は、ブランディングとデザインが発達していない教育」でした。そこで僕に「交通費が自腹でよければ、すべて案内するから来ないか?」と。僕はふたつ返事で「行きます」。
Photo by Robert Lawrence in Andes|研究者のAlonso
Photo by Robert Lawrence in Andes
35時間かけてたどり着いたアンデスは、標高5000メートルの高地。着いてまもなく、生活すらままならないはずの人たちが、家からパンなどあらゆるものを出してきて、すごく温かくおもてなしをしてくれたんです。それはあまりにも衝撃的で、感動的で。僕はデザインを教えに行ったはずなのに、本当の愛や人生で大切なものを彼らから学んで帰国。