目的は「他のプレイヤーよりも強く生きる」。ある若者が“絶対的な勝利条件がないボードゲーム”を作った理由
電車やバスの中で、スマホやゲーム機を使ってゲームをしている人を日常的に見かける。一見彼らは、誰かとコミュニケーションをとっているようには見えないが、実は画面の向こうにプレイしている対戦相手がいることが少なくない。またプレイヤーは常に制作者の予想した行動からどう外れるか・どう意図に則した行動をとればいいのかと思考しながらプレイしているため、対戦相手だけでなく作った人との間に高度なレベルのコミュニケーションが生まれているのだ。
ゲームとコミュニケーション
「ゲーム」と「コミュニケーション」というキーワードを肯定的に結びつけることは、あまりされてこなかった。オンラインゲームのやりすぎによる問題が起きている事実は否定できないものの、ゲームの持つコミュニケーション性を念頭において考える必要があるのではないだろうか。カードショップに集ったプレイヤーたちとの対面での「コミュニケーション」や、オンラインゲームで知らない相手と対戦する際の間接的な「コミュニケーション」、そしてアラン氏が指摘していたゲームの作り手との「コミュニケーション」などが、個人の生活にとって重要な情報のやり取りとなっていることもある。