「ヒップホップかなんてどうでもいい」。突如として現れた、日本社会に“バグ”を起こすラッパー三人組
だったと、荘子itは語っている。彼らが現在ラッパーをしているのは、三人から生まれるアウトプットが活かせる音楽がたまたまヒップホップであったからで、結果的にそうなった。それを超す表現が見つかったのなら、すぐにそちらへ移りかねないと言ってのけるほどヒップホップ自体にこだわってはいないのだ。Dos Monos以外にも、荘子itは他のアーティストのプロデュースや映像・広告音楽の制作、TAITAN MANは他のアーティストの作詞、広告のプランニング、没は音のコラージュなどとメンバーの活動は多岐に渡る。このようにやりたいことを一つに絞らない選択は、もはや特別でない。なかでも企業で広告プランナーを務めるTAITAN MANは、音楽と広告業のどちらもやりたかったと強調する。
売り方以外を見ても、日本のヒップホップ界には閉鎖的な面がある。日本のラッパーはファッションブランドと組んで活動するタイプ、メインストリームに出てタレント化していくタイプ、ギャングスタ・スタイル*1、生活密着型*2、自意識/サブカル系*3などさまざまに分類されるが、Dos Monosはいずれの文脈にも「入れないし、違和感を覚える」