カンヌ最高賞2度受賞のダルデンヌ兄弟が来日、最新作は日本にインスパイア
が、美容院を経営する女性・サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)と出会い、初めて信頼できる大人と向き合うことで、内面的な変化と成長を遂げる。「日本に帰ってからも、シンポジウムで聞いた少年の話を何度となく思い出していた。彼はやがて非行に走り、犯罪に手を染めてしまうんですが、それを映画化することに興味はありませんでした。むしろ、愛と出会うことで違った道、つまり暴力の道から逃れられることを描きたかった」(弟のリュック)。
これまで演技経験のない俳優を起用することが常だったダルデンヌ作品だが、今回、ベルギー生まれの国際的スター、セシル・ドゥ・フランス(『ロシアン・ドールズ』、『ヒア アフター』)が出演している。「彼女が演じるサマンサは、光り輝く聡明な存在でなければいけなかった。有名なスターですが、とても謙虚で、一緒に仕事することは大いなる喜びでした。演技経験のない少年を前にし、演技的なテクニックを捨てる必要があるとすぐに理解してくれました。
おかげでトマとの間に、劇中と同じ信頼関係を作ってくれた」(リュック)。2人を結ぶ“自転車”は自由の象徴だと言い、ジャン=ピエールは「シナリオを書く前から、(主人公)