『わが母の記』宮﨑あおい 「家のいろいろな所から声が聞こえる感じがいい」
私とあこちゃん(菊池亜希子)は、もの静かなタイプで、ミムラさんと南(果歩)さんは場を和ませてくれていました。私がいつもお菓子を持っていたので、今日はコレです!と差し入れをして、お菓子をつまみながらみんなで編み物をしたりということもありました」。そんな控え室の風景からは和やかさが伝わってくるが、映画で描かれる伊上家の根底に横たわるのは和やかさだけではない。八重の老いを通じて明らかになる母と息子のわだかまり、父に対する三姉妹の反発。どの家族も向き合わなければならない問題を、愛をもって提示するのがこの映画の素晴らしさだ。
それを代弁する演技派揃いの俳優たちも、もちろん素晴らしい。疑似家族の親子を演じた『ユリイカ』(’01)以来、12年ぶりに役所さんとの共演を果たした宮﨑さんは「役所さんに大人の色気を感じた」と、自分自身の成長を喜ぶかのような言葉を口にする。「10代の子供に大人の男の人の色気は分からないですからね。
それを感じられたことが嬉しくて。役所さんの色気は、空気感というか、落ちつきがあるというか、ギラギラ感がないというか、いや…それだと伝わらないかな。とにかく、色っぽいんですよ。(先輩俳優として)