ミシェル・ヨー×リュック・ベッソン監督 ビルマの母、スーチー女史の強さとは?
とベッソンは付け加える。
「彼女は、ビルマという国の母親になったのよ」
それにしても、なぜアウンサンスーチー女史はここまで強くいられるのだろう。元々彼女は病に倒れた母の看病ために帰国し、そこから全てが始まった。確かに彼女の父は“ビルマ建国の父”として国民から敬愛されながら、非業の死を遂げたアウンサン将軍だ。だとしても、最愛の家族と引き離され、死の床にある夫との再会も果たせない、そんな苛酷な状況に耐えられるものだろうか?
「彼女の強さはどこから生まれるのか、私も知りたかった。彼女は『これは犠牲じゃなく、自分で選んだこと』と語っているの。これに大きな意味がある。父親の死後、母親から大きな義務というものを学んでいたんです。
大学で政治学、経済学を学んでいるけど、政治家には必須のもの。論文のテーマも母国で起こりうる改革についてだった。彼女はいつの日か帰国して、母国の変化に何らかの形で手を貸したいと思っていたんじゃないかしら。まさか大統領になるかもしれない日が来るとまでは思っていなかったかもしれないけど。でも、夫と子供たちの愛があったからこそ、一歩踏み出せたと思う。彼女は子供たちを見捨てたんじゃない。