【シネマモード】キッチンから見えてくる、甘酸っぱい素顔のイラン『イラン式料理本』
男女平等大賛成、手抜き料理が大得意、という私でさえも…。
と、こんな様子で盛りだくさん。シンプルなドキュメンタリーで、ナレーション、音楽は一切なしで淡々と進んでいく本作ですが、それがかえって女性たちの本音を浮き彫りにしていくのです。「奥さん、ちょっと聞いてくださいな…」的な親近感と現実味を持って、登場人物たちが観客に語りかけてくるとでも言いましょうか。知らなかった素顔のイラン。この作品を観なければ、私はこの国をもっと違う目で見続けていたと思います。作品を観ていくうちに、私の気持ちが変わったからでしょうか。伝統料理の数々にも興味を持ちました。
いつか機会があったら食べてみたい…。こんな些細なことからでも、相手への興味はより膨らんでいくのだと思います。
きっと、あなたの思い込みもぱたりとひっくり返してくれる本作。最後の最後には、数組の夫婦のその後を知らせてもいますが、それがちょっと痛快でもあるので(実際に試写会ではここで大きな笑いが起こりました)、劇場に行かれる際は、場内が明るくなるまで席をお立ちになりませんよう。(text:June Makiguchi)
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イラン式料理本 2012年9月15日より岩波ホールほか全国にて順次公開
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