【インタビュー】高良健吾 命を見つめた10年 幾多の“死”を乗り越え、永遠を刻みつける
ニュースを見ていても被害者の方を見るようになりました。みんなが知らない被害者がどうなったのか?と考えちゃいます。それはこの作品以前はなかったことだし、その視点で見ていると、ニュースというのはほとんど加害者中心なんだと感じさせられます」。
高良さんのこうした言葉からも、静人の存在、生き方が持つ強いメッセージが感じられるが、演じる上で高良さんが選んだのは、メッセージを「伝える」というのとは正反対ともいえるアプローチ。ひとつ確かな拠り所となったのが、大竹しのぶが演じる母が静人について尋ねる記者に言う「あなたの目に静人はどう映りましたか?」というセリフだった。
「静人という人間を『分かってもらおう』という気持ちでやると、気持ちが外に向いてしまう気がしたんです。静人の“悼む”という行為は映画の中で分かっていくもの。僕が必要以上に“客観性”をもって演じると、映画の方向を間違えてしまうと思い、“演じる”ということよりもそこ(=現場)での“居方”を気にしていました。
母の『あなたにどう映りましたか?』という言葉を聞いて、僕が思う静人を演じるべきだと思いました」。
引いた目で客観的に観客に「何を伝えたいか?」