【インタビュー】M・アザナヴィシウス監督が語る、“立ちたい場所”にある作品
『アーティスト』の大ヒットという実績で必要な資金の調達に成功し、製作の実現にこぎつけたのだ。
これまで手がけた作品はコメディが多かっただけに、戦争という題材は確かに驚きだった。「観客からコメディを求められているかどうかはわかりません。出資者側は確実にそうでしょうけれどね」と笑ってから真顔になる。そして「戦争ではなく、チェチェン紛争について描きたかったのです」と明言した。
「僕は2004年にルワンダについてのTVドキュメンタリーを作りましたが、その頃からチェチェン紛争については語るべきだと考えていました。20~30万の犠牲者の出た暴力性の高い紛争が、国際社会の無関心の中で起きていた。それについて、敗れた側のチェチェンの人々によって語られることがないままであったことも、この映画を作ろうと思った理由の1つです」
映画には3人の少年と少女が登場する。
チェチェン共和国の寒村で、ロシア兵によって目の前で両親を殺され、ショックで声を失った9歳のハジ、姉のライッサ、そして平穏な日々から突然戦場に送り込まれたロシア兵・コ―リャだ。「映画はグルジアで撮影されましたが、コーカサス山脈を隔てた向こうにチェチェンがあります。