【インタビュー】<前編>北野武×藤竜也 笑いの天才の覚悟 vs 非コメディ俳優の矜持
の存在を知り、若い者には負けられないとかつての仲間たちを招集するのだが…。
――『アウトレイジ』、『アウトレイジ ビヨンド』とこれぞ北野映画といったバイオレンス全開の2作をヒットに導いたが、本作は先述のように、元ヤクザたちがコントの連続のような笑いを繰り広げる。
北野監督:「『アウトレイジ』シリーズをそのまま続けていくと抜けられなくなって、『仁義なき戦い』の深作(欣二)さんみたいになっちゃう。そう思って、以前に書いた台本をひっぱり出してきて、全く違うところを目指してみようと。そこで「笑い」をってなったんだけど、映画である以上はストーリーがあるので、笑わせるんだけど、コメディアンは極力、使わないで、アドリブやボケとかじゃなくて、映画らしく芝居の中で笑いとペーソス(=哀愁)を撮っていけたらと思った。
――監督の言葉を借りるなら目指したのは「正統派のお笑い映画」であり「お笑いをやりそうにない人に出てもらい、一生懸命に芝居をした結果が笑いになっている」とのこと。主演を担った藤さんは、確かにコメディの印象はないが、最初にオファーを受け、脚本を読んだ印象は?
藤:まさにいま監督が仰ったようにお撮りになるんだろうと思いました。