【インタビュー】<前編>北野武×藤竜也 笑いの天才の覚悟 vs 非コメディ俳優の矜持
まあこれから感じていくものなのでしょうけどね。僕の世間的なイメージがあるとしたら、そこから少し外れたもの、違うところを見せていると思うし、それは嬉しいことですよ。やはり、毎回変わっていかなきゃつまらないし、同じことはやりたくないですからね。やってみて一番ありがたかったのは、何度も回さずに鮮度のいいところで『OK!』と次に行くところ。あっちから、こっちからと複雑に撮ってたら、みんな最後までもたずに、途中でくたばっちまってたんじゃない(笑)?
北野監督:みなさん、職業が俳優だからね。こっちもイメージはあるけど、セリフを間違えない限り、だいたい思った通りの芝居をしてくれるんです。リハーサルなんてほとんどやらないし、本当はすぐ本番でいいんだけど、さすがにカメラマンさんと音声さんが大変だからね(笑)。こっちもお笑いのクセがあるから「何回も同じネタやれるかよ」ってのがある。
最初の本番が一番、気合も入るし、テイク重ねるとイヤになって来ちゃう。自分の身に置き換えても、スタミナなくなっちゃうから、とにかく早く撮ろうって。――藤さんをはじめ、主要キャスト8人の平均年齢が73歳超ということがことさら、大きな話題となっているが、その点でこれまでの撮影との違いなどは?
北野監督:いや、そこは若いか年寄りかってのはあまり関係ないね。