困難に直面した人が、それを乗り越えようとするという部分では、『リリーのすべて』も過去の作品と似た部分があるから、僕のことを信じて、リリーの旅に付き合ってもらえたら嬉しい」。
―LGBTQ(※)を扱った作品には、社会から差別的な扱いや暴力を受ける描写が登場することも多いですが、本作にはとほんどそれがなく、同情ではなく共感によってリリーを深く知ることができますね。
「リリーには良き理解者でオープンな心を持った友達、ハンスやウラがいた。当時としてはとてもリベラルな人々だ。ボヘミアンでアーティスティックで、彼らのコミュニティはとても先進的で寛容であり、偏見を持たない。リリーが本当の自分を追求できたのは、それもひとつの理由だったと思う」。
※レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア/クエスチョニングのコミュニティのこと。
―この作品では悲劇に焦点をあてず、自分を発見する喜びによりフォーカスしているところが素晴らしいと思います。
「そう言ってもらえて嬉しいよ。そう感じてもらえるのは、とても意味のあることなんだ。実は、多くのインスピレーションを貰ったトランスジェンダーの女性がいる。