でも、『英国王のスピーチ』や『レ・ミゼラブル』の成功を経て、作りたい映画を撮れるようになった。作品ができると、次のリスクは、観客が劇場に足を運んでくれるかどうかだった。でも、杞憂だった。1月にUKで公開されたとき、『スターウォーズ/フォースの覚醒』に次いで2位を記録したんだ。観客たちが、先入観を持たずにこの物語を受け入れてくれ、リリーの旅路に寄り添ってくれたことをとても嬉しく思う。この作品はトランスジェンダーを描いた作品だけれど、一人の人間が本当の自分になろうと闘う物語だ。すべての人間が最高の自分、ありのままの自分になろうとして直面する課題を描いた万国共通のテーマを内包しているんだ。ところで、日本ではこういったテーマはどう受け止められるのだろう」。
―日本は保守的でもありますが、歌舞伎のように、ジェンダーの壁を感じさせない伝統文化もあります。個人的な意見ではありますが、キリスト教文化が色濃い欧米諸国に比べて、日本は意外にオープンで、寛容なところがあるのかもしれません。
「そうだね。ぜひ日本の観客にも受け入れて欲しいな。日本では過去の私の作品を愛してもらっていて、とても光栄に、そして幸運に感じているんだ。