2016年12月25日 18:30
【シネマモード】色のない人生の中にも小さな幸せあり『幸せなひとりぼっち』
ある種のギャップには、人の魅力を増幅させる効果があります。見た目は怖いけど実は優しい、見た目はか弱そうで可愛いのに実は強い、など。ギャップが大きければ大きいほど意外性が驚きを生み、興味をそそられるのです。
隣人と顔を合わせれば文句ばかりの偏屈な頑固おやじなのに、実は愛に溢れている――。そんな孤独な男オーヴェの、幸せな人生を描いているのがスウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』です。
妻に先立たれ、一人暮らしのオーヴェは59歳。ある日、43年間勤めた会社をクビになり、もはや人生に思い残すことはないと、亡き妻の元へと旅立とうとしていました。ところが、いざ!というときに、家の外が大騒ぎに。
イラン人の主婦パルネヴァとその家族が引っ越してきたのです。引っ越しトラックがオーヴェの庭のポストを壊し、彼の逆鱗に触れたパルネヴァですが、明るく挨拶。以来、迷惑をかけたお詫びにと手作りペルシャ料理を持って来たり、運転を教えてと頼んで来たり、何かとオーヴェに絡んでくるのです。
やがて、オーヴェは車の運転を教えることに。一緒に過ごすことが増えるにつれ、オーヴェは明るくあっけらかんとしたパルネヴァに少しずつ心を開いていきます。