2018年1月24日 17:30
【シネマモード】「レズビアンではなく、トランスジェンダー」“本当の自分”を伝える自己表現とは
自分の思いがなかなか正しく伝わらないというもどかしさ、誰にでも覚えがあるのではないでしょうか。
『アバウト・レイ 16歳の決断』の主人公は、女の子としての自分の身体に違和感を覚える16歳のトランスジェンダーの男の子です。自分自身に素直に生きるため、身体的にも男の子になろうとホルモン治療を始めたいのに、母親は混乱。しかも、離婚してから何年も会っていない父にも同意のサインをもらう必要があるのです。
そもそもトランスジェンダーが理解できないレズビアンの祖母は、「レズビアンでいいじゃないの」と言います。当人以外にとって、それほど大きな違いがないと感じられたとしても、当人にはその違いには天と地ほどの違いがあるにもかかわらず。
誕生日にはいつも「男の子になれますように」と願っているレイ。それは、「男に生まれればよかった」とか「男の子になりたい」とは本質的に違います。
だって、レイは男の子なのだから。レイという名前も、後から自分で決めました。両親はもっと女の子っぽい響きの名前をつけていたのです。きっと、身体と心に違和感がある者にとって、名前とか服装とか、他者からの異性としての扱いとか、そういったものから生まれるちょっとした傷が、積み重なって大きくなっていくのでしょう。