映画『新聞記者』の原案となった女性記者を追う『i -新聞記者ドキュメント-』公開へ
この国のメディアはおかしい。ジャーナリズムが機能していない。そんな言葉を日常的に見聞きするようになってから、もう何年が過ぎただろう。いや見聞きするだけではない。僕自身も頻繁に言ったり書いたりしている。
かつてテレビ・ディレクターだった。その後に映画監督が肩書に加わった。それから活字も仕事の領域になった。
いわば僕のこれまでの人生は、常にメディアと共にあった。そのうえで断言する。確かに今のメディアはおかしい。ジャーナリズムが機能していない。
あなたが右だろうが左だろうが関係ない。保守とリベラルも分けるつもりはない。メディアとジャーナリズムは、誰にとっても大切な存在であるはずだ。だから撮る。
撮りながら考える。望月記者はなぜこれほどに目立つのか。周囲と違うのか。言葉が残るのか。特異点になってしまうのか。
撮りながら悩む。考える。だから観ながらあなたにも考えてほしい。
悩んでほしい。きっと最後には、あるべきメディアとジャーナリズムの姿が見えてくるはずだ。
ー森達也
『i-新聞記者ドキュメント-』は11月15日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて順次公開。
(text:cinemacafe.net)
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