くらし情報『自伝映画ではない、“個人的な映画”としての『マリッジ・ストーリー』』

2019年12月16日 21:00

自伝映画ではない、“個人的な映画”としての『マリッジ・ストーリー』

の曲の使用だ。ニューヨークで35歳の誕生日を迎える独身の主人公をめぐる、様々なカップルの矛盾や関係の破綻を描いたこの作品からの二曲「You Could Drive A Person Crazy」と「Being Alone」が歌われるシーンはこの映画のハイライトとなっている。余談だが、今年は『ジョーカー』に「リトル・ナイト・ミュージック」から「哀しきクラウン」、『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』に「フォリーズ」から「Losing My Mind」が使われるなど、ソンドハイムの年だった。

そして3.。『マリッジ・ストーリー』はバームバックの作品で最も“個人的”といえる『イカとクジラ』(2005)と呼応する。それぞれ破綻していく家族の物語だが、『イカとクジラ』の基になっているのはバームバックの父母の離婚であり、今回は彼自身の体験だ。映画の冒頭近くに置かれた短いテニスのシーン、猫の存在、「日常的だが映画に出てこない身振りを入れたかった」という『イカとクジラ』のローラ・リニーがくちびるの皮を剥く場面と、ニコールが弁護士に二人の経緯を語る長回しのシーンで、さりげなく彼女がバッグからリップクリームを出して塗るポイント。

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