2020年4月24日 20:00
【レビュー】イ・ジェフン&チェ・ウシクが狩られる…寓話のような韓国ノアール『狩りの時間』
まるで『ジョーカー』のゴッサム・シティのようだ。韓国ウォンが大暴落、ソウルはスラム化が進み、廃墟だらけの街には路上生活者とグラフィティアートで溢れかえっている…。そんなパラレルワールドというのか、近しい未来ともいうのか、希望さえ見えない世界で“永遠のどん底”から抜け出したい4人の若者たち。彼らが犯罪に手を染め、正体不明のハンターに追われる『狩りの時間』は、これまで目にしたことのないタイプの韓国ノワールだ。
主人公は、3年の刑期を終えて出所したジュンソク(イ・ジェフン)。幼なじみのギフン(チェ・ウシク)とチャンホ(アン・ジェホン)が彼を出迎えるが、かつて自ら犠牲となって盗んだ大金(ウォン)が紙クズ同然となったと聞かされ、愕然とする。1997年の通貨危機を描いた『国家が破産する日』では、IMF(国際通貨基金)からの融資額は当時200億ドルだったが、“この世界”では1,150億ドルにまで膨れ上がっていた。
ジュンソクはそんな「地獄から抜け出すために」、最後に“でっかいこと”をやって人生をやり直そうと2人に提案、賭博場で働くサンスを仲間に引き入れ、ある強奪計画を立てる。
だが、新しい人生をつかみ取るために危険な作戦を決行した4人の若者を、正体不明の追撃者ハンが追う。