2020年6月19日 12:15
【おうちで傑作レビュー】どこまでが許される?正義とは何か――重い“問い”が観る者の心を貫く『ザ・レポート』
このメンバーだけでも、かなりの見ごたえが期待できますね。
この映画の見どころは、とにかくハードな描写。ただグロい映画や過激な映画ならごまんとありますが、「正義の名のもとにこんなことをやっていたのか…」という衝撃性で頭が真っ白になります。濡れたタオルを顔に押しつけ、溺死寸前まで水をかけ続ける拷問、容疑者を全裸にし、ヘビメタを大音量をかけ続ける拷問、大量の虫と一緒に箱に閉じ込める拷問…。CIAは「米国内にいる工作員」と「次の攻撃はいつか」を聞き出すため、ありとあらゆる非人道的な手段を講じます。
正義とは何なのか?どこまでが許されるのか?どうやって裁けばいいのか?この重い“問い”が、観る者の心を鋭く貫くことでしょう。気持ちのいい映画かといえば、そうではありません。ただ、並々ならぬ覚悟と信念を持って作られた映画です。
この作品自体が、米国への「内部告発」を意味するのですから。
ちなみに、本作を手掛けたアマゾン・スタジオは、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』や『ビューティフル・ボーイ』、リメイク版『サスペリア』、『COLD WAR あの歌、2つの心』など優れた作品を次々と放っています。『ザ・レポート』は、その“ブランド”の名に恥じぬ力作といえるでしょう。
(text:SYO)
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