2020年8月28日 17:00
「男性だけの歴史にしたくなかった」映画の“音”に注目した女性監督の思いとは?
初めは映像編集の仕事の傍ら、お金のために音響編集の仕事を引き受ける程度だったという監督。彼女の興味は「物語」にあったためだったが、音響編集の作業をしていくうちに「音」こそが物語やキャラクターを明確にし、感情を表現できるということに気がついていく。
それから音に情熱を注ぐようになり、現在は自身の母校であり、ルーカスやスピルバーグを輩出した南カリフォルニア大学の映画芸術学部で教鞭を振るっている。『ブラックパンサー』(18)や『フルートベール駅で』(13)の監督を務め、本作にも出演しているライアン・クーグラーは彼女の教え子の1人だ。
ある日、同僚のボベット・バスターから本作製作の提案を受けたコスティンは「より多くの人に“音”の重要性を届け、人々の意識を開く」という自身の夢を叶えるためのまたとないチャンスだと思い、監督を引き受けたという。
本作は、女性が少ない現場で活躍してきたコスティンならではの視点で描かれる。映画の音の歴史を紐解いていく前半から、現代の映画音響の進化が明かされる後半になるにつれ、多くの女性スタッフの活躍も紹介。「男性だけの歴史にしたくなかった」と監督は話しており、実際、映画内では映画音響の仕事に“性別は関係ない”と考える女性技術者の声を聞くこともできる。