『スペシャルズ』監督陣が“最強の主演”を選んだ理由「二人のエネルギーが必要だった」
「作品に対するアイディアはあるが、脚本は用意していない。僕らと一緒にモデルになっている団体と長時間過ごしてほしい。それが無理なら、この映画の話はなし。断ってくれ」と大物二人にかなり強気に交渉したという監督たち。
ナカシュ監督曰く、彼らからの返事は早かったそうで「僕らのやり方は間違っていなかった。その日の夕方には二人からほぼ同じ内容のメッセージが送られてきた。『脚本がなくても大丈夫。このまま冒険を続けよう』とね」。
トレダノ監督は「ヴァンサンは、その人物になりきって身振りや体つきまでも“盗む”という姿勢で臨む。僕らは彼の“変幻自在”の才能を本当に素晴らしいと思っている。レダは繊細かつリアルな演技ができるカリスマだ。本作を成功させるためには、二人のエネルギーが必要だった」と、この二人が必要だった理由を語る。
彼らの熱意が伝わり、約束通りカッセルとカテブは施設を訪れ、カッセルはステファン・ベナム、カテブはダーウド・タトゥと、それぞれが演じる役のモデルと共に過ごすことになる。自閉症スペクトラムのことを全く知らなかったという二人だが、カッセルは「気がついたら涙を流していたよ。ステファンや団体のスタッフを観察していて分かったのだけど、彼らは献身的で、自閉症の人たちの生活のことだけを考えている。