真っ白な伝統衣装は「黒いヴェールに対する抵抗」『パピチャ』
ルームメイトで親友のワシラたちにモデルになってほしいと頼むのだ。
ネジュマがショーのために使うことにした素材は真っ白な伝統的な衣装布“ハイク” (アルジェリアをはじめ北西アフリカ諸国のムスリム女性が着用するもので、独立戦争の時代に女性が身につけて武器を隠していた)で、曲線とプリーツだけで作るシンプルなコレクション。
17歳までアルジェリアに暮らし、本作で長編デビューを果たしたムニア・メドゥール監督にとって、本作はある部分において自伝的作品であるという。アルジェリアを去る前、ネジュマと同じように大学寮で暮らし、ジャーナリズムを学びながら小遣い稼ぎのために服を作り、雑貨も扱う食料品店で売ってもらっていたそうだ。
そんな監督自身の経験をもとにネジュマというキャラクターが生まれたが、監督は「ネジュマが見せるファッションへの情熱は、象徴です。当時の原理主義者たちは、女性の体に覆いをかけようとしました。美しい体を見せるファッションは、私にとっては黒いヴェールに対する抵抗なのです」と主人公に託した想いを語る。また、ネジュマが“ハイク”を使ってファッションショーを行うことにしたことについて、「ネジュマは伝統的な布から出発して、それをリサイクルして近代化させていきます。