【レビュー】『エノーラ・ホームズの事件簿』は“新世代”ミリー・ボビー・ブラウンからのエンパワーメント
温和で物腰柔らかく、妹や女性たちに敬意を払う新しいシャーロック像を築き上げている(なんと、このシャーロック像が著作権侵害に当たるとしてコナン・ドイル財団がNetflixや原作のナンシー・スプリンガーらを訴えているという)。
長兄のマイクロフト役には『世界一キライなあなたに』『あと1センチの恋』などで知られるサム・クラフリン。近年、『チャーリーズ・エンジェル』や『ナイチンゲール』ほか、英国の人気ドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」では実在のファシストを演じるなど、悪役にも挑んでいるサムは、気が短く、家父長制の権化のようなマイクロフトを表現。もっとも当時ならば、彼のような考えの男性が大半だったろう。
マイクロフトは大人の女性になるための“教育”が必要と、エノーラを花嫁学校に入れようとするが、母から十分な“教育”を受けてきたと猛反発するエノーラ。フェミニズムの先駆者メアリ・ウルストンクラフトの「女性の権利の擁護」も読んだと得意顔だ。「このままでは夫が見つからない」「夫なんていらない」という兄妹の応酬からも彼女の性格や心持ちがうかがえる。「もう手に負えないよ。
シャーロック、何とかしてくれ」