2009年12月21日 20:43
【どちらを観る?】2009年もあとわずか…年末年始オススメ映画レビュー第2弾
『アダプテーション』などでも非凡さを見せつけたスパイク・ジョーンズ渾身のファンタジーだ。主人公の少年・マックスは何だか上手くいかない日常への苛立ちを隠せず、家を飛び出して不思議な島へ。そこに暮らす“かいじゅうたち”と夢の王国を築こうとする。マックスを丸呑みできるくらい大きいかいじゅうたちが、どの子もどこか物悲しげで愛くるしくキュート。等身大の着ぐるみで実写撮影した上CGを施し、かいじゅうたちのふさふさボディやちょっとグロテスクな鼻、つぶらな瞳に息を吹き込んだジョーンズ監督のこだわりが光る。しかも、不思議な島には不思議な島なりの事情と人間模様があり、喜びも哀しみも、楽しさも痛みも、愛も憎しみも存在する現実感の妙。愛おしくなるほどファンタジー感たっぷりの作品世界の中で、切なくなるほど生真面目に現実と向き合うストーリーが心を震わせる。決して大仰ではなく、さり気なさが心憎いマックスの旅の終着点も出色!
そして3本目のオススメは、主演のメリッサ・レオがアカデミー賞候補に挙がった『フローズン・リバー』。
夫に生活資金を持ち逃げされ、息子ふたりを抱えて途方に暮れる白人女性が、北アメリカの先住民、モホーク族の女性を相棒に、不法移民を密入国させる犯罪に手を染めていく。