2021年7月15日 18:30
【レビュー】「酒癖50」第1話:悪しき習慣がなくならない、アルハラ“負の連鎖”を描く
と頑なだ。クライアントが自社の女性部下を気に入れば、全くお酒を飲めないという彼女にも無理矢理飲酒するよう煽る。「アルハラ」だけでなく「パワハラ」に「セクハラ」まで加わり、ありとあらゆるハラスメントが凝縮された様子が描かれる。それがなぜだか「せっかくのお酒の場だから」「飲んでいるんだからちょっとくらい良いだろう」という気の緩みもあってか、何なら断った側が「場を盛り下げた」として白い目で見られたりするのだから、本当に節操のない“想像力を欠いた”「飲み会」は危険だ。
ただ、本作内で青田の悲しき新入社員時代の回想シーンが差し込まれる。まさに、いま青田が部下に強要していることと同じ洗礼を彼自身も受けてきたのだ。悪しき習慣こそ伝承され、再生産される。青田は加害者なだけでなく被害者でもあったのだ。
これが「ハラスメント」や組織に蔓延る暗黙のルールの悲しいところであり、それらが「過去の産物」とはならない所以だ。新入社員の辛さがわかるはずの青田が、「その分、自分だけは部下には同じ思いをさせない」「アルハラするような上司にはなりたくない」とはならずに、悲しいかな、「自分もこの辛さを乗り越えられたんだから、お前ももっと出来るはずだ」