【映画と仕事 vol.15】ラブシーンに臨む俳優の尊厳を守る 日本初の“インティマシー・コーディネーター”浅田智穂が現場にいることの意味
ただ、そうした気遣いをあれこれとしなくてはいけないことによって、その俳優さんの仕事が増えてしまうわけで「お芝居に集中したいけれど、相手のケアもしないと…」という部分に関して「そこは私に全て任せてください。きちんとサポートさせていただきますので」と伝えることで「すごくやりやすくなった」、「負担が軽減された」とおっしゃっていただけることが多いです。
――先ほど、講習の段階で疑似セックスシーンについても学ばれたという話でしたが、必要に応じて現場で監督に「こういう撮り方はどうか?」などと提案されることもあるんでしょうか?
そうですね。事前に絵コンテなどがある場合は、基本的にその内容を確認しつつ「ここからここにいく時の流れはどんな感じですか?」など必要な質問をし、そこで逆にアドバイスを求められることもあります。そういう時は私なりの考えをお伝えします。
また「こういうシーンにしたいけど、この俳優さんが見せられるのはここまでだったら、どうすればいいのか」といった場合に「じゃあ、こういうやり方はどうでしょう?」とか「こういう見せ方なら大丈夫そうです」と監督にお伝えします。
あとは実際に現場に行ってみたら、何らかの事情で予定していたカメラ位置が難しかったりとか、さまざまな事情で変更が加わることもあります。