2022年11月20日 18:00
アイデンティティの揺らぎを描く『ある男』ほか、“自分とは何か”に切り込む名作をピックアップ
東京の下町で、高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝の年金を目当てに、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮らしていた。
彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという一家だったが、それでも笑いが絶えない日々を送っている。ある事件をきっかけに、その家族はバラバラとなり、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになる。社会問題をベースにしながらも家族の形の意味、そして家族に属したことによって得られるアイデンティティについて問われる傑作。
『GO』(2001年公開)
金城一紀の同名小説を窪塚洋介主演、宮藤官九郎脚本、行定勲監督で映画化した。韓国の国籍を持つ普通高校3年の杉原は、元ボクサーの父に仕込まれたボクシングの腕前を武器にケンカや悪さに明け暮れる日々を送っている。
ある日、杉原はヤクザの息子の同級生・加藤のバースディパーティで声をかけてきた少女・桜井に出会い少しずつお互いの気持ちが近づいていく。そんな時、性格も見た目も正反対であるが、何故か気が合う親友の正一が、日本人高校生に刺されて命を落とす。
1人の青年の恋や友情に悩みながらアイデンティティに目覚めていく姿に、心を揺さぶられる。