2022年12月27日 13:30
【インタビュー】PFFアワード2022入選作品『暮れる』竹田優哉監督が映画づくりを通して模索した「折り合いのつけ方」
人はコントロールできない何かとどういう風に折り合いをつけていくのかということにずっと興味がありました。それを考えているときに映画づくりでピックアップしたのが、まず自分にとって身近な腹痛、つまり身体です。犬や自然というのも、人間のコントロールから外れてしまう存在として入れました。
――どうしてコントロールできない存在との関係性に興味を持ったのですか?
僕はコントロールできないものとうまく折り合いをつけることができないから、興味を持ったんです。うまく生きていくことができないなとずっと思っていました。たぶんそういう人はたくさんいると思うんですけど、そういう人たちの中でもすごく楽しそうに生きている人はいるじゃないですか。彼らはどうやって楽しく生きているんだろうというのを探っていくと、やっぱり彼らなりの工夫がたくさんあることがわかりました。僕も折り合いをつけて楽しく暮らしていきたいので、そのためにまず人の生き方を観察したいという思いがありました。
大学院ではそういうことを研究していました。
――主人公の青年が歌う開放的なシーンがありましたが、あれは折り合いのつけ方のひとつでしょうか?
あれは単純に、自己主張が苦手な青年がきっかけを与えられたことで自分を表出するというシーンを撮りたかったんです。