2022年12月31日 11:00
じっくり観たいおすすめ良質ドキュメンタリー『おやすみオポチュニティ』『サイバー地獄』ほか5選
当時の記録映像とインタビューを正面から捉える正攻法のノンフィクションと、ローバー(探査車)が火星を走行するCGアニメーションのような再現を巧みに折り込み、感動的でエモーショナルなドキュメンタリーに仕上げている。
火星に到着したローバー(探査車)たちが荒野をちまちまと動き回る姿は愛らしく、なんだか小さな子どものように思えてくるから不思議。それはローバーを地球から見守るNASAの技術者たちも同じ。「任務の間に双子を妊娠していた」と語るローバー操作のドライバーもおり、深い思い入れとともにミッションに当たる。
けれど年数が経つと動きが鈍くなり、それは言うなれば人間の「老化」のようにも思えて…。スタッフの中にはそれを自身の祖母の介護と重ねる人もおり、ただの「ロボット」=無生物であるローバーに生命を見出し、心を寄せていく姿に、なぜ人類は見果てぬ宇宙に生命を夢見るのか?という答えが垣間見える。彼方の宇宙に思いを馳せながら、「人」を見つめるドキュメンタリーになっている点も秀逸だ。
さらに、NASAの伝統として火星日(SOL)にあわせて一日のはじまりに流す「目覚ましソング」の選曲もニクい。
スピリットとの通信が途絶えた時にはABBAの「S.O.S」