2023年10月9日 14:00
田中泯×ヴィム・ヴェンダースの短編映画『Some Body Comes Into the Light』東京国際映画祭にて上映決定
泯さんの大いなる才能を思えば、まだ存分に描ききれていないと感じたのです。
撮影の最終日、この日は主役の役所広司さんは不在で、いつもであれば足りない街の実景の撮影に充てるのですが、私はその半日を泯さんの撮影に使いたいと皆に言いました。撮影スタジオを用意して、撮影のフランツ・ラスティグが本物の木をたくさん用意して、泯さんのパフォーマンスを余すところなく撮影しました。彼と木々のみで、他にセットは一切なく、ただ光と影だけでした。大きな木漏れ日のなかの田中泯、と言えるかもしれません。映画のなかの夢のシーンで、この映像をふんだんに使えるという期待がありましたがそれでも結局、泯さんの登場は少ないままでした。
私は突然に(カンヌ映画祭の受賞式の最中に)思いついたことを、良き友であり脚本を一緒につくった高崎卓馬氏に話しました。『PERFECT DAYS』のためにまだやり残したことがある、泯さんのあの踊りの映像の完全版を編集することだ、と。
それがついに完成して、この作品を、そしてあの映画のホームレスの存在が、平山だけでなく世界中のたくさんの人々の目に触れる。
そのことをとても誇りに思います。
泯さん、あなたは私が今まで出会った人の中でも、極めて素晴らしい人です!
ヴィム・ヴェンダース
『Some Body Comes Into the Light』は10月26日(木)