【インタビュー】河合優実、過酷な現実を生きた役へのアプローチ「これまでとは違ったものに」
ことしかできないから、できる限りのことはやり切りました。「観てほしい」と言っていい、と自分が思える材料はそこにしかないと思います。今現在はまだ客観的に受け止めきれておらず、「入江さんや自分が精いっぱいやった」ということだけが免罪符になっているような感覚です。
――河合さんの全身全霊のお芝居を目の当たりにされたら、きっとその想いは伝わるのではないかと思います。今回は「生き返す」がテーマだったそうですね。
入江さんが最初に下さった文章に書いてあった言葉です。「描きたいことを描くためにどういうシーンを構築していくか」や「そこにいる人をどう撮るか」を一端脇において、私の身体を通して彼女が生きているということをもう一度見つめようとしているのかなと感じました。
そういった目標があったため、私自身のアプローチもこれまでとは違ったものになりました。
普段は全体から入ることが多く「このシーンは全体の中でこれくらいの場所にあるから、こういう道のりを辿ろう」や「映画全体の中でこういう役割を果たす」と逆算してお芝居を考えていくのですが、今回は杏という人物に出来るだけフォーカスしようという考え方にどんどん近づいていきました。