【インタビュー】河合優実、過酷な現実を生きた役へのアプローチ「これまでとは違ったものに」
と思うときはやっぱり、いい作品と思えません。これは『あんのこと』に関わっている際に、よく考えたことです。
現実社会の課題を描く映画へ多数出演
――河合さんがこれまで出演された作品には『PLAN 75』や「神の子はつぶやく」ほか、現実社会とリンクするものも多くありますね。
確かに今までも、様々な社会の課題に対しての映画に出演させていただきました。そのなかで『あんのこと』は実在した人物の人生を映画にしたという意味で直接的ですし、そのぶん自分の中で重くのしかかるところはありました。
――そうですよね。劇映画という性質上、どうしたってある種の暴力性や、見ようによっては搾取という部分から切り離すことはできないとも思いますし。そういった部分との折り合いについては、いかがでしょう。
「ついている」とは言い切れないですね。でも、主演として、この作品を世に出していく立場としてそう言っていいのかもわかりません。だからこそ「どうしよう」と悩みはしますが、「絶対に映画にして世の中に伝えるべき」と信じた入江さんの気持ちや、私が取り組んでいた気持ちは本物です。
他者の気持ちを完全に察することは難しいけれど、ご本人にお話を聞くことが叶わないぶん自分の中では「敬意を払う」