【インタビュー】河合優実、過酷な現実を生きた役へのアプローチ「これまでとは違ったものに」
こうした社会問題について、どういう風に情報が発信されて人々がキャッチしているのかといった部分についても考えるようになりました。
――先ほど河合さんがおっしゃった「怖さ」について思うのは、こうやって取材等で言葉にすることもそのひとつなのではないかということです。そうですね。言葉にすることへの怖さもあれば、難しさも感じます。そもそも、本作に限らず言葉で言えないから映画になっているところもありますし。言葉にしなくて済んだものを言葉にすることで、自分がそのとき感じていたことや、表現したことからズレてしまったり、より大きく伝わってしまったり小さくしか言えなかったり、そういったことは本当にたくさん起こります。
ただ、映画に出た後に作品や自分のお芝居が何を表現していたかちゃんと言語化したいとも思うので、どんな作品でも頑張って言葉にしようとはしています。
――ちなみに、本作のように実話から派生した作品に出演したことで、ご自身の観客としての心持に変化はございましたか?
私が作品を観て感動するときは、そこにある人間や精神、命をとても尊重していると感じられた瞬間だと思います。
いい作品にはモラルがあるものだと私は考えていて「これはフィクションではあるけれど、人の尊厳を踏みにじっているんじゃないか」