ライアン・ゴズリングの本領発揮 『バービー』から映画愛たっぷりの『フォールガイ』へ
させ、シドニーを舞台に走り、飛び、落ち、転がってはクールにアクションを決める。
かと思えば、元恋人ジュディとの再会には動揺しまくり、テイラー・スウィフトを1人で熱唱するなど、チャーミングすぎるギャップが魅力だ。
キャラクター的には、時々弱音を吐きつつもツキまで味方にしてしまう、ゴズリング史上“最も愉快な”『ナイスガイズ!』の私立探偵ホランド・マーチが近いかもしれない。何があってもめげずに、自身の肉体と精神力、培ってきた経験値を信じて“強み”を発揮するのは、『ブレードランナー 2049』(2017)の捜査官KやNetflix映画『グレイマン』(2022)の工作員シエラ・シックスのようでもある。
そんなコルトの原動力が、撮影監督からキャリアを積み映画監督デビューを控えている元恋人ジュディなのだ。映画界のスーパースター、トム・ライダー(アーロン・テイラー=ジョンソン)を主演に迎えたジュディ初監督の“SF恋愛超大作『メタルストーム』”を何とか完成させるため、コルトは文字通り命を賭けて身を捧げ、“フォールガイ”に徹する。
ゴズリングが演じるコルトは、まるで自分らしさを見つけた “ケン”であり、愛する女性を励まし支える“セブ”でもある。