アカデミー賞監督、キャンセルカルチャーを問う ドキュメンタリー『ジョン・ガリアーノ』のテーマは“赦し”
ホイットニー・ヒューストンを題材にした映画も撮ったし、悪いことをした人を題材にした映画も撮りました。その人たちを理解しようとすること、〈英雄と悪人〉という単純化された〈白か黒か〉の定義から離れることは、すべての人に課せられた義務だと思います」と続ける。
さらに、完成した本作を見た際のガリアーノの様子について、「ジョンが初めて映画を見たとき、彼は出てきて泣いていて、本当に動揺しているように見えて、心配になりました。彼はこの映画が嫌いなのか、と。でも実際は、本当に感動していたのです」とふり返る。
本作で引用される、アベル・ガンス監督の記念碑的大作『ナポレオン』の美しい映像とドキュメンタリーの融合に感動したというガリアーノ。学生時代の彼に多大な影響を与えた1本でもある『ナポレオン』は、巨大な野心で世界を手にしたものの、最期には敗北と亡命にいたるナポレオンのイメージをガリアーノ自身と重ねるように、本作のあらゆるシーンで刹那的に映し出される。
そのことについてマクドナルド監督は、「『ナポレオン』の本編映像について、まだ権利が取れるかどうか不明な状況だと伝えたところ、彼は、『ああ、ダメだ。