ソロシネマ宅配便 第1回 第1回『ザ・ビースト』俺らのニコラス・ケイジが“猛獣ハンター”に
おじさんは孤独だ。
自分が中年になって、あらためてそう思う。20代はほとんど学生時代の延長だったのが、30代あたりからそれぞれ仕事が忙しくなったり結婚したり子供ができて、深夜に誰かのワンルームマンションに集まって『ウイイレ』しながらカップ焼そば……みたいなノリが難しくなる。
いわば、青春が終わり、人生が始まるわけだ。で、「ひとりの時間」が多くなる。そう言えば、映画館も若い頃は男友達同士やちょっと仲良くなりたいおネエちゃんとよく出かけていたのが、最近はひとりで劇場へ行くことが増えた。平日の夜、仕事終わり。会社もスマホも忘れて、暗闇の中でコーラ片手にスクリーンを眺める。
これが案外気持ちいい。しかもチケット料金は1,000円代だ。本連載はそんなおっさんソロシネマライフにオススメの映画をお届けしていこうと思う。
基本的に取り上げる作品は試写招待ではなく、日本公開中の映画を選んで自腹で観に行くつもりだ。だって、ラーメンも上司に奢ってもらうのと、ネットで下調べして自分のサイフからお金を出して行くのでは気合いが違うからね。人は自腹を切るとシビアに真剣にモノを見る。
というわけで、記念すべき連載1回目はヒューマントラスト渋谷の「未体験ゾーンの映画たち2020」