舞台『鬼滅の刃』、原作最終回&演劇中止続く今だからこそ配信で
ここで最後に力を振り絞らされる。よく言うところの、雑巾を絞って最後の一滴まで絞って、なお絞るみたいなことを小林亮太はやるのである。
2時間前、登場してきたときは、声がとても繊細で、優しい少年そのものだった炭治郎。「禰豆子」と呼ぶときの慈愛に満ち溢れた声が染みる。闘うとき全身に力を入れたら声が変わってしまいそうにもかかわらず、極力優しい声を保っていた炭治郎が、ここに来て、繊細さを残しつつ、たくましく成長した、闘う男の声ものぞかせる。最初の頃に(禰豆子との闘いであったとはいえ)後ろに下がり気味だった炭治郎はここではぐいぐい前に前に出て剣を振るう。注目作の舞台版の主演に大抜擢された小林亮太は現在21歳。年齢的にはもう少年ではないとはいえ、少年を客観視しながら演じるにはいい時期のような気がする。
舞台版『パタリロ』のビョルン&アンドレセン役や『僕のヒーローアカデミア The”Ultra”Stage』の爆豪勝己役など近年目覚ましい成長を感じる。3、4月の舞台公演が中止になってしまったことが残念だが、7月の『PLUS ULTRA ver.』に期待する。
炭治郎が雪の中をひとりで歩くところからはじまって、彼の精神の成長が技の成長と合わせてじょじょにじょじょに上昇していて大爆発する流れを2時間30分ノンストップで体感できただけで映像配信を見てよかったと思えた。