今だからこそ感じる演劇の尊さ…配信で観る『刀ミュ』 ~阿津賀志山異聞~
三日月、小狐丸、石切丸は少し引いた視点で加州清光や今剣を見つめているふうに描かれている。
史実では、義経の死後、頼朝の軍勢が藤原泰衡を滅すことになるが、歴史修正主義者たちによって、死んだはずの義経が生き返ってきた。この間違った流れを阻止することが刀剣男士のミッション。だが、今剣は義経に強い思慕があり、久方ぶりに会った義経を死なせることに迷う。
今剣は、6振りの中で最も小柄。血気盛んなリーダー・加州清光、しゅっとして優雅な三日月宗近と小狐丸、戦が嫌いで祈祷師的な独特のスタンスを持つ石切丸、大柄で豪快な岩融の間を、軽快に動きまわり、その無邪気さが、主人への執着を無理もないものに感じさせる。今剣を演じる大平峻也は動きが機敏で、6振りの中のいいアクセントになっている。淋しげに「きらきら」を歌う場面はいじらしく、今剣と彼を支える岩融の関係性も切ない。
○■ためらいが描かれた作品
今剣の持ち主だった義経と岩融の持ち主だった弁慶は、刀ミュ以前からも人気である。歌舞伎にもなっていて、兄に愛されなかった義経の悲劇と、忠義の人・弁慶は長いこと日本人に支持されてきた。「判官贔屓」という言葉もあるほどである。