配信でも沼落ち必至!? 今だからこそ観てみる『刀ミュ』〜幕末天狼傳〜
(このワードもよく出てくる)を終えた刀の喪失感が根底にあり、彼らがどんなに強く暴れていても拭えない悲哀となって立ち上って見える。とりわけ「幕末天狼傳」では、新選組のありし日のキラキラした青春の思い出が描かれ、近藤、土方、沖田がほんとうに仲良さそうなものだから、その悲劇的最期と、それを見つめる刀剣男士たちの眼差しが胸を打つ。
○■個性豊かな刀剣男士が活躍
哀しい宿命を彼らは歌うけれど、セリフでは互いに交わし合うことはあまりない。新選組の仲間たちは互いにわかりあっているのだけれど、言葉でなんでも伝えるのではなく、心で伝えるところがあって、からかったりもするけれど心のなかではすごく相手を思いやっている。そこがまたツボ。そういう言葉にしない美学を最も引き受けているのが長曽祢虎徹である。蜂須賀虎徹はそこに自分が求めても得られない強さの根源を見る。
タイトルにある「天狼」は冬に最も大きく輝いて見える天狼星(シリウス)のこと。
長曽祢虎徹は最初から最後までどこか孤独な狼のような強さを放ち続ける。クライマックス、白い照明の使い方がすこぶる効果的だった。長曽祢虎徹と近藤の絶叫芝居は圧巻。近藤の抑制しつつ力強い芝居は場を引き締めた。