コロナ禍でSNS拡散『ペイ・フォワード』の奇跡とは? 19年前の関係者を取材
所詮、社会はそんなもの」と自分を納得させるしかなかった。それが今になって花咲いて、「映画をやっていてよかった。社会のせいにした当時の自分は間違っていた」と思いますね。これも1つの奇跡というか、『ペイ・フォワード』が教えてくれたことです。
○■「いま私たちが生きている世界」は変えられる
――2001年公開時、社会に影響を与えたような出来事は起こりましたか?
中村:世の中に大きなうねりを作り出すまでには至りませんでした。去年、『ジョーカー』に関わりましたが、そこまでいくと「社会現象になった」と言えるかもしれませんが……。一人でも多くの人に届いてほしいと願うように、祈るように仕事をしていた覚えがあります。
――『ジョーカー』のキャッチコピーは「本当の悪は笑顔の中にある」ですが、正反対の物語でしたね。
では、サブタイトルの「可能の王国」はどのような経緯で決まったのでしょうか?
中村:「ペイ・フォワード」はキーワードとしてそこまで覚えにくい言葉ではないのですが、日本人にとっては馴染みのない言葉です。「恩や善意の先送り」という意味ですが、そのまま直訳してもわかりにくいので、当時の上司が「“可能”という言葉はキーワードだよね」